SpaceX『Starship Hopper vehicle』はなぜ作られたのか?
時事解説2019.09.03
2019年8月27日、SpaceX社は『Starship Hopper vehicle』(通称StarHopper)の飛行テストを実施しました。
Starhopper flight test drone footage pic.twitter.com/ilvALgrpCo
— SpaceX (@SpaceX) August 28, 2019
一瞬SF映画かと思うほど…
人類の宇宙工学がこの領域に達したと思うと感動すら覚えます。
さて、実は今回の試験は全日にエンジントラブルに見舞われたりと紆余曲折あっての成功だったわけですが、そもそも今回のテストは何を見据えたテストだったのでしょうか?
StarHopper建造の目的
テスト機として使用されたStarHopperには、SpaceXが現在開発中の次世代エンジンRaptorが搭載されています。
この次世代エンジンは同社が次の目標に掲げている有人宇宙船StarShipと完全再利用型の大容量宇宙船Super Heavyからなる次世代打ち上げシステムのメインエンジンです。
つまり、StarHopperは、SpaceXの次世代ロケットのエンジンテスト機だったというわけです。
次世代エンジンRaptor、その性能
SpaceXが開発しているRaptorエンジンは、2つの目的のために開発されています。
- 再利用可能なこと
- 火星まで行けること
イーロン・マスク率いるSpaceXらしい野心的な目的です。
実際にイーロン・マスク氏は、自身のツイッターで、最大1000回の再利用が可能なエンジンを目指すと述べています。人類が最も再使用したスペースシャトルのエンジンでも数十回しか再利用しなかったことを考えると、この再利用回数は驚異的です。
Since Raptor produces 200 tons of force, cost per ton would be $1000. However, Raptor is designed for ~1000 flights with negligible maintenance, so cost per ton over time would actually be ~$1.
— Elon Musk (@elonmusk) June 24, 2019
上記のツイートでも述べている通り、再利用回数が増えれば増えるほど、低コスト化を行うことができます。これは間違いなく同社の強みとなるでしょう。
そして火星へ…
Raptorエンジンは、現在SpaceXが使用している Merlin エンジンよりも2倍強力といわれています。その秘密はいくつかありますが、液体メタンを燃料とすることも要因の一つです。
そしてこのメタンは火星にも存在が確認されており、将来的には火星で燃料を補給することも視野に入れているのかもしれません。
SpaceX has completed over 1,200 seconds of firing across 42 main Raptor engine tests. pic.twitter.com/EhxbPjd8Cj
— SpaceX (@SpaceX) September 29, 2017
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