規模は業界の2%、それでも『ロケット産業が魅力的だ』といえる理由
業界解説2019.08.30
ロケット産業は宇宙業界においては全体の2%程度の収益金額であることは以前触れました。
今回は、それでも『ロケット産業が魅力的だ』といえる2つの理由について見ていきます。
前年度収益成長率は「34%」‼
毎年、宇宙業界の統計を発表しているBRYCEによると、2017年から2018年にかけて「ロケット産業」は収益を34%も増加させているのです。
しかし、その前年の年、ロケット産業の収益は大きく落ち込みました。
ここで見るべき点は、打ち上げの回数は2016年から2017年の間では変化がないということです。
すなわち、2017年には全体として16%も低コストで同数の打ち上げが行えたことになります。
この技術革新によるであろう低コスト化が呼び水となり、2018年の打ち上げ数増加につながったとみられます。
打ち上げ単価は今後も低コスト化が進んでいくとみられ、その点でも、ロケット産業は成長していくと予測されます。
人工衛星の統計から、ロケット産業の未来をみる。
次に、ロケット産業の未来を見るために、「積み荷」となる人工衛星の統計をヒントに見ていきましょう。
2018年、軌道上で「運用中」の衛星は約1600機でした。
同じころ、約10倍に当たる16000機以上の衛星が「計画」されており(※1) 、今年の3月31日までに軌道投入された衛星は約400機、現在は2062機の衛星が軌道上で運用されています(※2)。
また、2030年までに、衛星需要は現在の16倍になる(※3)という推計も出ており、「積み荷」が急速に増えることで、運び屋であるロケット産業への需要増が期待できそうです。
衛星利用が進んでいる背景には、打ち上げ費用の低価格化と、超小型衛星の高機能化、低コスト化によって、一般企業でも、衛星を保有することが「わりにあう」選択肢となりつつあるようです。
※1 ARK Invest が2018年段階で調査( https://ark-invest.com/research/new-space)
※2 2019年3月31日までに軌道投入されたものを Union of Concerned Scientists が発表(https://www.ucsusa.org/nuclear-weapons/space-weapons/satellite-database)
※3 日興アセットマネジメント株式会社 が2018年10月に推定(https://www.nikkoam.com/files/lists/news/2018/news1024_10.pdf)
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